
睡眠の意義/睡眠不足の影響
睡眠はすべての年代においても健康維持に必要な休養活動です。睡眠不足は注意力低下や情動不安定など影響が多岐にわたります。
睡眠障害は、肥満・高血圧・糖尿病・心疾患・脳血管障害の発症リスクが上昇します。ほかにうつ病などの精神疾患の発症や再燃にも影響すると言われ、健康保持に極めて重要です。

睡眠時無呼吸症候群と症状
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に10秒以上の無呼吸や低呼吸が繰り返し起こる状態です。さらに無呼吸中にいびきが存在する閉塞性睡眠時無呼吸(obstructive sleep apnea:OSA)と,いびきを伴わない(努力呼吸がない)中枢性睡眠時無呼吸(central sleep apnea: CSA)に分類されます。前者は、肥満/加齢/男性に多く、後者は, 心不全/脳卒中後に見られることが多いと言われています。
症状(ご家族から指摘される場合もあります)
- 睡眠中の窒息感や大きないびき
- 睡眠中に呼吸が止まる、あえぐような呼吸
- 起床時の頭痛や喉の渇き
- 日中の眠気・疲労感
- 日中の集中力低下
- 夜間頻尿

睡眠時無呼吸症候群の原因と頻度
閉塞性睡眠時無呼吸(obstructive sleep apnea:OSA)の原因は気道が狭いことと言われています。軟部組織が増加したり、(肥満により)睡眠中に舌や軟口蓋が喉に落ち込むことが原因です。ほかに加齢や飲酒/仰向けで寝ることが原因になる場合もあります。中枢性睡眠時無呼吸(central sleep apnea: CSA)は、脳から呼吸筋に正しく命令できない状態です。脳梗塞や神経筋疾患による脳機能障害や、心不全による呼吸調節障害が原因と言われています。
有病率は、50歳台の女性の10%弱、男性の10-20%です。70歳まで加齢とともに有病率は上昇します。中枢性睡眠時無呼吸は50歳前後の場合、女性の0.1%/男性の1%程度の有病率と言われています。そのため、睡眠時無呼吸症候群の中では閉塞性睡眠時無呼吸の割合が高くなります。
肥満が最大の危険因子と言われています。10%の体重増加で、発症リスクが6倍になります。男性は女性の2-3倍の頻度になります。女性は閉経による影響が言われています。

診断方法
睡眠時無呼吸症候群の診断は以下の順番で検査を行います。
- 問診/診察:いびきや睡眠の状態の確認、高血圧などの生活習慣病の評価、体重/体格(BMI)の評価
- 簡易検査(スクリーニング検査):鼻の下と指にセンサーを装着し、自宅睡眠中の呼吸や酸素濃度の変化を測定します。貸出機器を使用するため、自宅で行うことができます。
- 入院検査(ポリソムノグラフィー検査/PSG):上記検査に加えて、脳波や心電図など同時に測定することで、呼吸状態を詳細に評価します。専門の技師や医師が監視しながら評価するため、一泊検査入院が必要です。簡易検査で診断できなかった場合に、行います。
簡易検査・入院検査では、無呼吸低呼吸指数(Apnea Hypopnea Index: AHI)を測定します。AHI 5回/時以上で、睡眠時無呼吸症候群と診断します。

睡眠時無呼吸症候群の治療方法
①生活習慣の改善
- 減量(BMI25以上の肥満の場合)
- アルコールや過度な睡眠薬を控える
- 夜間のスマートフォンの使用やテレビ視聴を控える
- 睡眠リズムの見直し
- 仰向けで寝ることを避ける(横向きで寝る)
②持続陽圧呼吸療法(CPAP)
AHIが高い患者さんは、就寝時に鼻や口にマスクを装着し、装置から一定の空気を送りこむことで、気道閉塞を防ぎます。一夜あたり4時間以上の装置の使用が効果的です。定期的に装置や呼吸状態の確認が必要なため、通院治療が必要です。生活習慣の改善による軽快することもありますが、多くの方は継続治療が望ましいです。
③マウスピース療法(OA: Oral Appliance)
軽症の患者さんは、マウスピースを装着して就寝する方法も有効です。かかりつけの歯科へご相談になります。
④耳鼻咽喉科的手術
耳鼻咽喉科へ相談させていただきます。
*睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン 2020年より

睡眠時無呼吸症候群と合併症と交通事故
睡眠時無呼吸症候群の合併症として生活習慣病を含めた以下の疾患が挙げられます。
高血圧、多血症、不整脈、虚血性心疾患(狭心症/心筋梗塞)、心不全、脳血管障害(脳梗塞)、糖尿病、肺高血圧症、インポテンツ
健常人と比較して、睡眠時無呼吸症候群の患者さんは、糖尿病が1.5倍、高血圧が2倍、心疾患が3倍、脳血管障害が4倍のリスクといわれています。
睡眠時無呼吸症候群の治療により難治性高血圧の改善、心血管障害の改善が期待されます。(高コレステロール血症・肝障害の改善効果はありません)
また、交通事故にも注意が必要です。居眠り運転による交通事故はニュースでも取り上げられています。健常人より7倍交通事故が多いと言われています。
質の良い睡眠は、健康維持/病気予防に欠かせません。
みたけ内科循環器科クリニックでは持続陽圧呼吸療法(CPAP)を行っています。使用状況をモニタリングしながら治療を継続するお手伝いをさせていただきます。
