
息切れや高血圧・胸痛は喫煙の影響の場合があります
喫煙は、以前より階段を上った時に息切れがする、痰や咳が多くなったなど症状がでることがあります。また、血圧が下がらないことや、心臓の発作(胸痛)とも関連します。たばこをやめたいけど治療を迷っている方や一度たばこをやめたが再開した方など、禁煙外来に興味がある方はご相談ください。

喫煙は心臓や血管・肺に負担がかかります
当院では生活習慣病(高血圧や高コレステロール血症、糖尿病など)や循環器科(心臓病:狭心症や不整脈・心臓弁膜症など)の患者さんが多く通院しています。たばこは血管や気管(肺へ空気を取り込む通り道)へ作用し、それらの臓器を悪化させます。そのため、動脈硬化、心筋梗塞・脳梗塞、高血圧、慢性閉塞性肺疾患(COPD)など多くの病気の発症率を上昇させます。禁煙することがほかの病気の治療に直接つながるため、とても重要です。また、生活習慣病の治療をしていても、たばこ1本の喫煙で、効果が半減します。今までの治療の効果を維持するために、禁煙は重要です。

チャンピックスの効果|ニコチンを摂取しない治療
当院ではチャンピックスによる治療を行っています。喫煙するとニコチンが体内に取り込まれます。ニコチンが脳にあるニコチン受容体に結合すると快感物質(ドパミン)を放出します。チャンピックスは、ニコチンが受容体に結合することを直接阻害します。そのため、喫煙してもドパミンの放出が抑制され、たばこを吸いたい欲求が減少し、たばこをおいしく感じにくくなります。
チャンピックスはニコチンを含まない薬剤のため、治療開始後から心臓や肺への負担がダイレクトに軽減でき、禁煙成功率が比較的高いことが最大のメリットです。

各臓器への影響(心臓、肺、発がん、妊娠、受動喫煙など)①
①心臓・脳・血管
- 狭心症、心筋梗塞 (虚血性心疾患)
- 脳梗塞、クモ膜下出血 (脳卒中)
- 動脈瘤、動脈瘤破裂 (大血管疾患)
- 閉塞性動脈硬化症、バージャー病 (手足の血管疾患) など
狭心症や心筋梗塞は、非喫煙者より喫煙者のほうが2-3倍多いと言われています。また、一度心筋梗塞を起こしている人も、禁煙することで再発率や死亡率が4年以内に35%減少します。脳卒中も同様であり、禁煙後2年以内に急激に発症率が低下し、5年以内に非喫煙者と同じレベルになります。

各臓器への影響(心臓、肺、発がん、妊娠、受動喫煙など)②
②肺、気管支
- 肺癌
- 慢性閉塞性肺疾患
- 一部の間質性肺炎 など
たばこの煙は口から直接肺に取り込まれるため、肺は当然ながら空気の通り道である気道にも影響があります。特に影響が大きい疾患が、肺癌と慢性閉塞性肺疾患(COPD: chronic obstructive pulmonary disease)です。肺癌の発生率は数倍から数十倍になり、喫煙期間や一日の本数が多いほど発生率も増加します。肺癌の発生率は禁煙を10年すると30-50%まで低下します。CODPの原因の80-90%が喫煙と言われています。

各臓器への影響(心臓、肺、発がん、妊娠、受動喫煙など)③
③がん、悪性腫瘍
- 鼻腔・副鼻腔がん
- 口腔・咽頭がん、喉頭がん、食道がん
- 肺がん
- 肝臓がん、胃がん、膵臓がん
- 子宮頸がん
- 膀胱がん など
喫煙は肺癌以外にも様々ながんと因果関係があります。

各臓器への影響(心臓、肺、発がん、妊娠、受動喫煙など)④⑤
上記に挙げた疾患以外にも様々な変化があります。
④妊産婦・胎児・乳幼児
- 妊婦:胎盤に関連した合併症、早産、流産
- 胎児:発育遅滞、低出生体重
喫煙は妊婦本人以外に、胎児・新生児・幼児の体の発生や発達・発育に影響を与えます。
⑤美容や生活の質の低下
- 皮膚の弾力性が減り、しわが増加
- 頭髪の変化(白髪、脱毛)
- 口唇の乾燥、歯や歯肉の着色・口臭
- 疲れやすさ
- 睡眠の質の低下

受動喫煙による家族への影響
喫煙している本人以外がたばこの煙にさらされることを「受動喫煙」とよびます。受動喫煙は、喫煙しない周囲の人の健康へ影響を及ぼします。
あきらかに受動喫煙と関連する疾患
- 肺がん
- 狭心症・心筋梗塞 (虚血性心疾患)
- 脳梗塞 (脳卒中)
- 乳幼児突然死症候群(SIDS)
- 子供の喘息
受動喫煙と関連しているといわれる疾患
- 鼻腔・副鼻腔がん
- 乳がん

当院の禁煙治療 スケジュールと費用
診療のスケジュール(保険適応)
3か月・全5回の通院スケジュール
治療開始から、2週間後・4週間後・8週間後・12週間後に受診いただきます。禁煙の状況や気分の変化など相談いただき、アドバイスや内服の調節を行います。
保険適応の条件と費用
保険適応には、スクリーニングテストや年齢制限(35歳以上)、ご本人が治療を行う意思があるなどいくつかの条件があります。相談いただいたときに、当院にて条件を満たすか判断します。
チャンピックスの処方の場合、12週間で約2万円(3割負担)の費用がかかります。もし、1箱600円のたばこを1日20本12週間吸った場合、600×84日(12週)=50400円かかります。また、喫煙により病気になった場合には、さらに医療費がかかるため、経済的にもメリットが大きいと思われます。
| たばこ代(12週間) | 50400円(1日20本、1箱600円の場合) |
| 禁煙外来(12週間) | 約20000円(3割負担) |
- 差額で趣味や友人・家族との時間を充実させることが可能

よくある失敗の原因と対策
- 口さみしさでたばこを吸いたくなる
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無糖のガムや水などたばこに代わるものを口にして、数分間を乗り切ります。時間が経過すると、症状が減少してきます。
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お酒の席でたばこを吸ってしまう
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たばこを吸わない自信がつくまでは出席を控えましょう。断れない席では、禁煙宣言をしてお酒を飲みすぎないようにするか、ノンアルコールの飲み物で対処しましょう。また、喫煙者の近くに座らないことも重要です。

チャンピックスの副作用
飲み始めて1-2週間で、嘔気を認めることがあります。食後の内服や水分を多めに摂ることで症状が軽減できます。それでも改善しなければ、医師と相談しチャンピックスの容量を減らします。ほかに、頭痛や便秘・不眠・眠気などの副作用も5-10%の確率で起こります。適宜、医師と相談しましょう。
失敗しても再挑戦できる
多くの方は2-3回の失敗を経験します。意思の強さの問題ではなく、ニコチン依存症という病気です。失敗した原因を話し合い、次への対策につなげましょう。
参考文献
- 循環器学会 禁煙ガイドライン2010年改訂版
- 循環器学会 禁煙のための標準手順書
- 厚生労働省(禁煙の効果)
- JPHC study
- 厚生労働省 喫煙と健康 喫煙の健康影響に関する検討会報告書
